ヤンキースのゲリット・コールが粘着物質に関する質問を受け、しどろもどろに

Written By Ryan Fagan
Gerrit-Cole-Getty-FTR-072320
(Credit: Getty Images)

6月8日(日本時間9日)、ニューヨーク・ヤンキースのエース、ゲリット・コールはZoomで行われたオンライン会見で地元紙『ニューヨーク・ポスト』のケン・ダビドフ記者からの質問に上手く回答することができなかった。なぜなら、それは良い回答というものがどこにも見出せない質問であったからである。

ベテランのコラムニストであるダビドフ記者は単刀直入に次の質問を発したのだ。「あなたは今までにピッチングをしているときにSpider Tackを使ったことはありますか?」、と(訳者注:Spider Tackは主にウェイトリフティング等のストロングマン・コンテストなどで使われるペースト状の強力な滑り止め製品)。

もしコールが「はい」と言えば、出場停止の危険にさらされることになるだろう。MLBは回転数を上げることを目的として粘着物質を使用する投手を取り締まる準備を進めているからだ。もしコールが「いいえ」と答えたら、多分それは嘘をついていたことになるだろう(証拠はまだないが、数多くの状況証拠や証言がコールが使用してきたことを示唆している)。えてして真実というものはこのような状況で明らかになることが多いのだ。

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そのため、コールは口を開く前に長い間沈黙した。そして「正直に言って、どのように答えるべきか分からない」と言った。

もちろん、コールは質問に答えないことによって答えたと言えるだろう。

コールが回答する場面の動画:

もっとも驚くべきことは、この質問を受けたときにコールが驚愕の表情を浮かべたことかもしれない。コールは明らかにショックを受けたように見えた。ここ数週間の間、米野球界で最大の話題と言えば粘着物質のことだった。コールがいかにシーズン中は外部からの雑音を排し、野球に集中することを選んだのだとしても、この話題が持ち出されるであろうことをヤンキース関係者の誰かがコールにあらかじめ警告しておくべきだった。

元最優秀選手賞(MVP)受賞者でもあるミネソタ・ツインズのジョシュ・ドナルドソン三塁手がつい数日前に言った内容を覚えているだろうか?

「6月3日(同4日)、ゲリット・コールの回転数が低下した。マイナーリーグで4人の投手が10試合の出場停止処分を受けた直後だった。これは偶然なのか? そんなことはあり得るのか? 私には分からない。ひょっとしたら、そうなのかもしれない。同時にこうも言える、この状況で、彼らは選手たちにそれを許したのだ」

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この話題が持ち出されないと考える方がどうかしている。

この状況は事実がこうであると告げている。コールがSpider Tackかそれに似たような何かを使って、ボールの握りを強くし、回転数を上げ、ボールの動きを大きくし、バッターが打ちにくくしてきたことは、ほぼ間違いない。だが、コールがそれを行った唯一の投手ではないことも、ほぼ間違いがない。はっきりとした数字はないが、おそらくは半数以上の投手はMLBが「ルール違反」と定義する何かを使っているのだろう。

もう1つの事実もまた背景にある。MLBはこれまでの長い間、マウンド上のルール違反者がいることを知りながら、見て見ぬ振りをしてきたことだ。投手たちが極端にあからさまではなく、少なくとも隠そうとしている限りは、違反行為は許されてきたのだ。だが、この問題はもはや無視することはできなくなった。

似たような話を以前聞いたことがあるだろう? かつて野球界の「ステロイド時代」と呼ばれた時期、本塁打記録の価値が下がり始めるまで、はっきりとした対策は取られなかった。「平凡な選手でもシーズン40本の本塁打を打つ」だけではなく、大記録だったはずのシーズン60本が9月上旬にあっさり通過されるようになって、ようやく問題に取り組むようになったのだ。

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今も同じことが起きようとしている。

回転数は限りなく上昇し、打者の平均打率は歴史的な低水準にまで落ち込んだ。野球とは常にスリルに満ちたスポーツではないが、それでもあまりにも多くなった三振数は熱心なファンさえもうんざりさせてきている。なにしろ6月に入って1週間以上が過ぎた現在、防御率2点以下の先発投手が7人もいるのだ。さらには29人もの先発投手が1試合平均で10個以上の三振を奪っている事実はどう考えるべきだろうか。

奪三振にかけては王の中の王とも呼ぶべきノーラン・ライアンですら、27年間の現役生活で1試合平均奪三振数が11.0個以上だったシーズンは2回しかない。現在は歴史的な何かが進行中なのである。そしてMLBはようやく重い腰を上げて、対策を取る準備を始めたということだ。

コールが違反物質使用について真正面からの質問を受けたのは今回が初めてだったのかもしれない。だが、それは最後にはならないだろう。そしてコールはたった1人だというわけでもない。

(翻訳:角谷剛)

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